美容室
わたしの数少ない外出に
美容室も含まれる
月に一回
髪の根元を染めて
ヘッドスパをしてもらう
髪の根元を染めるのは白髪だから
白髪はいやではないが
根元が光って見えると
なんだか疲れているように見える
疲れていないわけではないが
疲れていない時もあるから
ヘッドスパは初めはお断りしていた
長い間美容室のあの椅子に
座っていられないかもしれないから
おしりがむずむずしそうで
美容師さんの強烈なオススメに
渋々承諾したヘッドスパ
今ではルンルンでしてもらう
兎に角すぐに眠たくなるから
必ず眠くなる
なにやらお香とか
リラクジェーションミュージック
とやらを取り入れて
頭になんとかと言う精油を
塗り込むらしい
なんの匂いかわからないが
気持ち悪くならないのでお願いする
森の中に入るイメージなんですよ
これまた綺麗な女性の美容師さんが
答える
わたしの周りにいる人は
皆綺麗な人ばかり
若くない綺麗でもないわたしは
悲しくなるくらい
世の中は不公平なのだ
不公平が当たり前と思うと
すっと受け入れやすくなる
人間は平等だ
と思っていると闇に落ちていく
この不公平の世の中でもわたしは大丈夫
何も持っていないが
楽しくやる術を手に入れたから
~Épilogue~
このヘッドスパはお気に入り
眠れないわたしには睡眠薬の代わり
何も考えずぐっすり眠りたい
夢も見たくない
暗闇で冷たい地面に静かに横たわり
何も出てこない夢なら見てもいい
希望とか将来とか未来とかいらない
~はじめまして~