花
この無機質な家に慣れた頃
ふと、花を飾ることを考えてみた
花ならばわたしにもお世話ができる
植木は期間が長すぎる
花の命は短い
短いが美しい
わたしは美しくない
若い盛りを過ぎてしまった
もしかして一番いい時期を病院で過ごしたのかしれない
一番いい時期を暗く冷たい心で過ごしたかもしれない
一番いい時期をひとりで過ごした
一番いい時期にはもう戻れない
せめて美しい花の一番いい時期を愛でれたら
慰めになるだろうか
花の命は短い
短いが美しい
美しいものに囲まれたい
このかごの中にも幸せが溢れていると感じたい
~Épilogue~
ずっと冷めたこころで過ごした事が
もったいないなと思うようになった。
昔夢中になって愛でた花を再び
目に出来るようになっていた。
匂いと感触を取り戻した嬉しさは
ゆっくりわたしの身体を溶かしていく。
~はじめまして~