彼の手
私のあらゆるところを
気持ちよくする彼の手は
もうすぐ労働に使われる
とても残念に思う
短く切り揃えられた爪を見ながら
ちょっぴり涙がほろり
爪をなぞり、指をそっとつまみ、
手の甲に口づけし
彼の匂いを吸い込む
彼の手のひらでわたしの顔を包み込む
温かく優しいごつごつした手
幸せすぎてまた私は涙ぐむ
彼の手はそんなものに
使われるべきではないと思っている
彼の手はとびっきり美味しい料理や
彼の好きな美しい絵を描くこと
わたしを可愛がることに使われるべきだ
彼に触れられるとわたしは溶ける
深い息と彼の匂いと彼の手
わたしはずっと深みに浸かっていたいのに
~はじめまして~