想像してみて
ねぇ 想像してみて
自分が死んでしまう事を
この世から突然いなくなる事を
わたしはあんまり困ってないのよね
以前なら出来ていたことも
憧れていた未来のことも
すべて今は無に限りなく近いの
今も死んでも同じでしょ
ちょっと大げさかな
ねぇ 想像してみて
あんなに紳士的だった男友達が
ねっとりしたざらついた舌で
舐めるようにわたしを見るのよ
そして言うの
病気でもアレは出来るんだろ？
って、アレって何だろうね
ねぇ 想像してみて
いい年した女が結婚していないと
どこか欠陥があるんじゃないかと
聞いてくる近所のおばさん
身体の欠陥はありますけど
性格の欠陥を疑われてるのよ
少しは妥協しないと
もう若くないんだから
昔は綺麗でも衰えてくるでしょと
年を経て変わってしまった容姿を
言われるといくらなんでも
涙ぐむ
誰にも愛されてないから
余計そのことばが刺さるのよ
～Épilogue～
若くて元気な頃のわたしへ
想像できないでしょうね
もういろんな経験をしたわ
って思っていたから
あの頃に戻りたいとも思わない
すぐに壮絶な毎日がやってくるから
一度きりでいいわ
～はじめましての記事～
